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こんな症状を見落としていませんか?
- 歩き方がぎこちない
- ある足をかばっている
- 走るとスキップすることがある
- お散歩の距離が短くなってきた
- 散歩のとき歩く速度がおそくなってきた
- 階段を上がりたがらない
- 突然「キャン」とどこか痛がる時がある
- なんとなく元気がない
- 関節を触られるのを嫌がる
気になる症状があったら、なるべく早く受診しましょう。
犬種別なりやすい整形疾患一覧
犬種によってなりやすい整形疾患があります。「もしかして…」と感じたら早めの受診を
◎よく起こる ○時々起こる △まれに起こる
表をクリックでおおきな画像でご確認いただけます。(PDF)>>
椎間板ヘルニアについて
椎間板ヘルニアは「緊急疾患」です!!
椎間板ヘルニアは「緊急疾患」です!!
「当院では緊急の手術に備え、常に医療機器や手術器具を準備し、迅速な対応が可能です。」
突然歩くのを嫌がる、背中や腰を触るのを嫌がる、抱いた時に「キャン」と痛がる、後足に力が入らない、引きずるなどの症状があれば、早急に受診して下さい。椎間板ヘルニアかもしれません。
当院は椎間板ヘルニアの治療に積極的に取り組んでいます。
「ヘルニア」とは、体内の臓器などが本来あるべき部位から脱出した状態を指します。
「椎間板」とは、図のように椎骨(いわゆる背骨)と椎骨の間に存在する構造物で、線維輪と呼ばれる線維性のカプセルとそれに囲まれる髄核と呼ばれるゼリー状の物質で構成されています。椎骨に加わる衝撃を吸収するクッション材としての役割を果たしています。「椎間板ヘルニア」はこの椎間板や中身の髄核が、脊髄神経の通る脊柱管に脱出してしまい、痛みや麻痺など様々な神経症状を起こす病気です。
椎間板ヘルニアの分類
椎間板へルニアは次の2つのタイプに分けられます。
ハンセンⅠ型
線維輪が破れ、中身の髄核が脊柱管に脱出するタイプです。日本で人気のダックスフントをはじめ、フレンチブル、ペキニーズ、トイプードル、ビーグル、シーズー、コーギーといった軟骨異栄養性犬種で多く報告されています。
軟骨異栄養性犬種とは軟骨に変性を起こしやすい犬種のことです。その性質から椎間板の髄核に変性が起こりやすく、本来ゼリー状の髄核が硬くなりクッション性が低下し、結果線維輪ももろくなり破れやすくなると考えられています。
ハンセンⅡ型
ハンセンⅡ型:椎間板に変性が起こり、椎間板自体が、脊柱管に脱出するタイプです。加齢にともなって起こることが多いので、症状も緩やかで慢性的なことが多いです。軟骨異栄養性犬種以外の犬種や、柴犬、大型犬の老齢犬に認められることが多いです。
椎間板ヘルニアの症状と重症度の分類について
ヘルニアの症状の重篤度により、5つのグレードに分けられます。
重篤度により症状は様々です。また、重篤度により治療による回復率は異なります。症状の進行はとても早いことが多く、「昨日までグレード1だったのに今日はグレード5まで進行している」ということもありますので、注意が必要です。
内科的治療を行うのか外科的治療(手術)が必要なのかを判断し、治療方針を決定することがとても大切です。
グレード1
回復率:内科治療100%・外科治療100%
歩きたがらない、「キャン」と痛がる、背中を丸めて震えている
グレード2
回復率:内科治療80%・外科治療95%
肉球ではなく足の甲で立つ、足を突っ張って歩く
グレード3
回復率:内科治療80%・外科治療95%
後足を交差してクネクネ歩く、お尻の皮膚をつねっても痛みを感じない
グレード4
回復率:内科治療50%・外科治療90%
後足が全く動かない、その場におしっこをしてしまう、指先をつねると痛みは感じる
グレード5
回復率:内科治療7%・外科治療50%(24時間以内)
後足は全く動かず指先を強くつねっても痛みを感じない
急性で重度の脊髄障害をおこす椎間板ヘルニアでは、脊髄の神経細胞の虚血壊死により脊髄軟化症に陥る可能性があります。(クレード5の約5%と言われています。)発症してしまうと、治療のいかんに関わらず2~4日で呼吸不全を起こし死に至ります。残念ながら有効な治療法はありません。
椎間板ヘルニアの治療方法は?
大きく分けて内科的治療と外科的治療に分けられます。
内科的治療
内科療法は脊髄の圧迫の軽度な子、症状の軽い子に対して行われます。内科的治療の基本は安静です。
安静というのは、お散歩に行かないという程度のものではなく、ケージレストと言って、トイレなどに出す時以外は狭いケージの中でじっとさせておく、かなり積極的な安静が必要です。安静の期間は脱出した椎間板が安定する4~6週間は必要となります。
また、内科療法では、NSAIDS(非ステロイド系消炎鎮痛剤)またはステロイドの内服やその他のお薬、レーザーなどを併用する場合があります。ただし、最も重要なのは安静で、薬物は補助的なものでしかありません。飼い主さんの中には薬は飲ませることで安心してしまい、ケージレストを守れない方がいらっしゃいます。確かに6週間ケージの中に入れておくのはかわいそうかもしれません。しかし、ケージレストが守れずに一生歩けなくなることもありえるかもしれません。内科療法を選択した場合はくれぐれもケージレストを守って下さい。
また、内科療法の場合、外科療法に比べると再発率が高い(1/3に再発がみられたという報告があります)ため、グレード3、状況によっては4以上では外科手術をおすすめしています。
外科的治療(手術)
正常胸腰椎図 椎間板ヘルニア(ハンセンⅠ型)に対し片側椎弓切除術を行なったところ。圧迫を受けていた脊髄が充血しているのがわかる。術後、良好に経過しています。
グレード3よりも重症の場合は、手術をおすすめしています。
脊髄造影レントゲン検査にて、ヘルニア部位を診断後に実施します。圧迫部位の、椎骨の一部を削り、椎間板物質を除去します。グレードにより早期の検査や手術が必要なことも多いため、外科手術器具は常に準備しています。術後はできるだけ早期にリハビリを開始します。
当院の治療の特徴
豊富な専門器具
固定具、プレート、ピン、創外固定など外科手術に必要な専門器具がそろっています。
■プレート固定・・・手術をして骨を整復(元の形に戻す)場合もっともとよく用いられるのが金属の細い板と折れた骨とをネジで固定するプレート固定法です。
■ピンニング・・・骨の中心に金属のピンを入れて固定する方法
術後のアフターフォロー
獣医師から術後のリハビリやお家での過ごし方をしっかりアドバイスさせて頂きます。
また定期的に経過観察もきちんと診察させて頂きます。
画像診断
レントゲン撮影では骨や関節の評価ができ、また椎間板ヘルニアののレントゲンでは造影レントゲンも撮影することができます。
診療の流れ
ご来院
受付
受付に診察券をお出しください。
初診の方は受付にお申し出ください。
問診票にご記入いただき、看護師より詳しい状況の確認などをさせていただきます。
症状やお困りごとをお伝え下さい。
診察室
毎回必ず問診・体重測定・体温測定・身体検査(視診・触診・聴診)をしっかり行います。そしてその動物の状況を説明し、処置・検査を行います。
もし治療や検査が必要であればその必要性、そして費用なども説明させて頂きます。
飼い主様に十分ご納得して頂いた上で治療・検査に進ませて頂きます。スタッフ一同、患者さまの疑問に対してしっかり、お答えすることを目指しております。
検査
血液検査、レントゲン検査、超音波検査、神経学的検査など
再び診察室へ
検査結果をお伝えした上で、動物の現時点での状況、予後、必要な処置、さらに精密検査が必要であるならばその必要性など、具体的にしっかり説明させて頂きます。
お会計と次回予約
治療によってお薬が必要な場合、処方します。お薬の内容、飲ませ方など診察室でご説明いたしますが、気になることがあれば受付にお申し出下さい。
ご自宅にて
ご帰宅されてからも、あらためて動物の状況、検査内容、お薬の内容・飲ませ方など気になることがあれば、お問い合わせください。