犬のアレルギーの原因や症状、診断や治療法|獣医師が徹底解説!|大阪府和泉市のいぶきの動物病院2024/11/05
和泉市、堺市、岸和田市の皆さん、こんにちは!
大阪府和泉市のいぶきの動物病院です。今回は、犬のアレルギーに関する詳しい情報をお届けします。愛犬がかゆがっていたり、皮膚に異常が見られる場合、それはアレルギーが原因かもしれません。アレルギーの原因や症状、診断の流れ、そして治療法についてわかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
◎原因
犬のアレルギーは、様々な原因によって引き起こされます。以下のような要因が関与していることが一般的です。
a. 食物アレルギー
食べ物に含まれる特定の成分が犬の体に合わず、アレルギー反応を引き起こすことがあります。例えば、牛肉、鶏肉、乳製品、穀物(小麦やトウモロコシ)などがアレルギー源となることが多いです。アレルギー反応は、消化器症状(嘔吐や下痢)だけでなく、皮膚にも現れることがあり、慢性的なかゆみや湿疹が主な症状です。
b. 環境アレルギー
ダニやカビ、花粉など、環境中のアレルゲンが原因で発症するアレルギーです。特に、ハウスダストやカーペット、ベッドの中にいるダニがアレルギーを引き起こすことが多いです。また、季節ごとに発生する花粉症のように、特定の季節にだけアレルギー症状が悪化する犬もいます。
c. 接触性アレルギー
シャンプー、洗剤、衣服の素材など、犬が直接触れる物質に反応して起こるアレルギーです。接触性アレルギーは、特に皮膚に炎症やかゆみを引き起こすことが特徴です。
d. その他のアレルギー
ノミや蚊などの虫刺されもアレルギー反応を引き起こすことがあります。特にノミアレルギーは、ノミの唾液に対する強い反応が原因で、少数の刺咬でも強いかゆみや皮膚炎を発症します。
◎症状
犬のアレルギー症状は、原因によって異なりますが、共通して見られるものもあります。以下に代表的な症状を挙げます。
a. 皮膚のかゆみ
最も一般的なアレルギー症状の一つです。犬が頻繁に体を掻いたり、噛んだり、なめたりする行動を見せる場合は、アレルギーを疑う必要があります。特に耳や足先、肉球の間、顔周りにかゆみが出ることが多いです。
b. 皮膚の赤みや湿疹
かゆみを伴う皮膚の赤みや湿疹、膿疱(のうほう)が見られることがあります。これらの症状は、アレルゲンとの接触が続くと悪化する傾向があります。
c. 耳の炎症
耳が赤くなったり、耳垢が増えたりするのもアレルギーの兆候です。特に、耳を頻繁にかく場合や、悪臭がする場合は、外耳炎が疑われます。アレルギーによる外耳炎は再発率がかなり高いのも特徴です。
d. 嘔吐や下痢
食物アレルギーの場合、消化器症状が現れることもあります。嘔吐や下痢が続く場合や排便回数が多い場合は、食べ物がアレルギーの原因かもしれません。
e. 目のかゆみや涙
花粉やダニによる環境アレルギーでは、目がかゆくなったり、涙が多くなることがあります。これも犬のアレルギーの一般的な症状です。
◎診断の流れ
犬のアレルギーを正確に診断するためには、いくつかの手順を踏んで原因を特定する必要があります。
a. 問診
まずは、飼い主様から犬の生活環境や食生活、症状がいつから現れたのか、どのようなタイミングで悪化するのかなど、詳細な情報をお伺いします。特に、食事の内容や家の環境、散歩コース、使用しているシャンプーや洗剤などが重要なポイントとなります。
b. 皮膚の検査
皮膚のかゆみや炎症が見られる場合は、皮膚の状態を詳しく調べるために、顕微鏡での検査や細菌培養を行います。これにより、感染症や寄生虫が原因である可能性を除外します。
c. 血液検査
アレルギーの原因を特定するために、血液検査を行うことがあります。アレルゲンに対する抗体の有無を調べることで、どの物質が原因かを特定するのに役立ちます。
d. 食物除去試験
食物アレルギーが疑われる場合は、一定期間特定の食材を避けた食事(除去食)を与え、その後再びアレルゲンと疑われる食材を与えて反応を見る「除去試験」が行われます。
e. アレルゲン検査
環境アレルギーの診断には、皮内テストや血清検査などが用いられます。これにより、花粉やダニなどの特定のアレルゲンが原因かどうかを調べます。
◎ 治療の流れ
アレルギーの治療は、原因を特定した上で、症状を緩和するための対策を取ります。
a. 薬物療法
アレルギーによるかゆみや炎症を抑えるために、抗ヒスタミン薬やステロイド薬を使用することがあります。これにより、症状が一時的に和らぎますが、長期使用には注意が必要です。
b. 食事療法
食物アレルギーの場合は、アレルゲンを含まない特別な食事(アレルギー対応食)を与えることで、症状を改善させます。除去食によって症状が緩和される場合は、その食材を避けることが推奨されます。環境アレルギーでも、皮膚のバリア機能を高める食事が推奨されることもあります。
c. 環境管理
環境アレルギーの場合は、ダニやカビ、花粉などのアレルゲンに接触しないように環境を整えることが重要です。掃除を徹底し、空気清浄機を使用するなどの工夫が効果的です。
d. 免疫療法(アレルゲン特異的免疫療法)
アレルゲンに対する耐性をつけるために、少量のアレルゲンを注射して体を慣れさせる治療法です。効果が現れるまでには時間がかかりますが、長期的に症状を改善することが期待できます。
◎予防方法
犬のアレルギーは遺伝も関与しているため完全な予防は難しいとされています。しかし、以下のような対策を講じることで発症リスクを減らすことができます。
a. バランスの取れた食事
愛犬に適したバランスの取れた食事を与え、免疫力を高めることが重要です。また、新しい食材を与える際は、少量ずつ試すことが推奨されます。
b. 定期的な掃除
ダニやカビ、花粉などのアレルゲンを減らすために、定期的な掃除を行い、清潔な環境を保つことが大切です。
c. 定期的なシャンプーとブラッシング
犬の皮膚を清潔に保つために、適切なシャンプーを使って定期的にケアすることが大切です。ただし、シャンプーの成分によってはかえってアレルギーを引き起こす可能性があるため、動物病院で推奨されるアレルギー対応の製品を使用することをお勧めします。シャンプーのやり方も間違えれば悪化させる可能性があります。また、ブラッシングを習慣化することで皮膚の健康を維持し、アレルギーの原因となるアレルゲンを除去することも効果的です。
d. アレルゲンとの接触を避ける
犬がアレルゲンに触れることを最小限にするための対策も有効です。たとえば、環境アレルギーがある場合、花粉の多い季節には散歩後に体を拭いたり、服を着せて花粉の付着を防ぐ方法があります。また、ダニやカビを防ぐために、犬が使うベッドやブランケットを頻繁に洗濯することも重要です。
e. 定期的な健康診断
アレルギーは早期発見が鍵となります。症状が軽度な段階で発見し、適切な治療を開始することで、症状の悪化を防ぐことができます。年に1〜2回の定期的な健康診断を受けることで、アレルギーの兆候を早期に見つけることができ、愛犬の健康を守ることができます。
◎ 最後に
犬のアレルギーは、原因や症状が多岐にわたり、一度発症すると長期的な管理が必要になることが多いです。しかし、適切な診断と治療を行うことで、愛犬の生活の質を大きく改善することが可能です。アレルギーの疑いがある場合や、症状が続いている場合は、早めに動物病院での診察を受け、適切な対応を取ることをお勧めします。
いぶきの動物病院では、犬のアレルギーに関するご相談や診断、治療を行っています。アレルギーは根治が難しいこともあります。ペットちゃんが快適な生活を送れるよう、サポートさせていただきますので、お気軽にご来院ください。飼い主様とペットちゃんの健康を第一に考えた診療を提供しています。猫についてもアレルギー様症状が生じることがあります。猫ちゃんの脱毛や痒みについてもお気軽にご相談ください。
今後もペットちゃんの疾患に関する情報を更新していきますのでお楽しみにしていてください。