お知らせ
こちらにはサイトの更新情報や獣医師出勤表、診療時間の変更など、
連絡事項を中心に掲載していきます。
♪ 時々ネコ日記も登場します。お楽しみに ♫
犬の肺炎の原因や症状、診断や治療法|獣医師が徹底解説!|大阪府和泉市のいぶきの動物病院2024/10/25
和泉市、堺市、岸和田市の皆さん、こんにちは!
大阪府和泉市のいぶきの動物病院です。
今回は犬の肺炎について、その原因や症状、一般的な診断や治療の流れ、さらには予防方法について詳しく解説していきます。
犬の肺炎は重篤な疾患になることもあるため、早期の発見と治療が非常に重要です。
この記事を通じて、飼い主様が正しい知識を持ち、大切な家族であるワンちゃんの健康を守るためのお手伝いができれば幸いです。
1. 原因
肺炎は、感染性(細菌性、ウイルス性、真菌性)や誤嚥性などいくつかの原因があります。
それぞれの原因について解説していきます。
1-1. 細菌性肺炎
感染性肺炎の中でも一番多いのが、細菌感染による肺炎です。健康なワンちゃんでの発症は少なく、免疫力の低い子犬や高齢犬、何かしらの基礎疾患がある場合に発症することが多いです。
1-2. ウイルス性肺炎
ウイルスも肺炎の原因になることがあります。犬アデノウイルスや犬インフルエンザウイルスなどが主な原因となります。ウイルスに感染すると、二次的に細菌感染を引き起こし、肺炎が悪化することがあります。
1-3.真菌性肺炎
カビ(真菌)による感染が原因で起こる肺炎です。特に、湿気の多い地域に住む犬や免疫力の低い犬が感染しやすいです。
1-4.誤嚥性肺炎
誤嚥(ごえん)により、食べ物や胃酸、唾液などが誤って気管に入り、肺炎を引き起こすことがあります。これを誤嚥性肺炎と呼びます。誤嚥は、特に全身麻酔を受けた後や、嚥下障害のある犬に多く見られます。
1-5. アレルギー性肺炎
環境中のアレルゲン(花粉、ダニ、カビなど)が原因でアレルギー反応が起こり、肺に炎症が発生することもあります。この場合、肺炎というよりも肺が過敏になっている状態です。
2. 症状
犬の肺炎は、早期に発見することが治療の鍵となります。以下のような症状が見られたら、すぐに動物病院に相談することをお勧めします。
2-1. 咳
最も一般的な症状の一つです。乾いた咳や、湿った音がする咳などが見られます。咳は長引くことが多く、時間が経つにつれて症状が悪化することがあります。
2-2. 呼吸困難
犬が呼吸をしづらそうにしていたり、呼吸が速くなっている場合は注意が必要です。口を開けて息をする、胸部が大きく上下する、青白い舌や歯茎などは、酸素不足の兆候です
2-3. 発熱
肺炎を起こしている犬は、発熱することがあります。元気がなく、食欲も低下する場合、体温を測ることをお勧めします。
2-4. 食欲不振
肺炎の犬は食欲がなくなることが多く、場合によっては体重が急激に減ることもあります。
2-5. 倦怠感・元気消失
普段は元気な犬が、だるそうにしていたり、遊びたがらない、散歩に行きたがらないなどの行動が見られた場合も注意が必要です。
3. 診断の流れ
肺炎が疑われる場合、動物病院での診断が不可欠です。一般的な診断の流れは以下の通りです。
3-1. 問診
まずは飼い主様から犬の症状、行動の変化、食欲の状態、ワクチン接種の状況、他の病気の有無などを詳しく伺います。これにより、肺炎の原因を特定するための手がかりを得ます。
3-2. 聴診
犬の胸部を聴診器で確認し、異常な呼吸音がないかをチェックします。肺炎の場合、通常よりも雑音が聞こえることがあります。
3-3. レントゲン検査
肺の状態を詳しく確認するために、胸部のレントゲン撮影が行われます。これにより、肺に炎症や液体がたまっているかどうかを確認することができます。
3-4. 血液検査
炎症の程度や、感染の有無を確認するために血液検査を行います。特に白血球数やCRP値が肺炎の重症度を示す指標になります。
3-5. 気管洗浄・培養検査
場合によっては、気管にカテーテルを挿入して洗浄液を採取し、細菌やウイルスの培養検査を行います。これにより、適切な抗生物質や治療法を決定するための手がかりを得ます。
4. 治療の流れ
肺炎の治療は、原因や症状の重さによって異なりますが、一般的な治療の流れは次の通りです。
4-1. 抗生物質の投与
細菌性肺炎が疑われる場合、抗生物質の投与が最も重要な治療法です。培養検査の結果に基づき、効果的な抗生物質が選ばれます。通常、数週間にわたり投与が続けられます
4-2. 対症療法
咳や呼吸困難に対しては、症状を和らげるための薬(咳止めや気管支拡張薬)が使用されることがあります。また、酸素吸入が必要な場合もあります。
4-3. 水分補給
肺炎の犬は脱水状態になることが多いため、点滴による水分補給が行われることがあります。特に、食欲が低下している場合には必要です。
4-4. 入院治療
重症の場合や、呼吸困難が見られる場合は、動物病院での入院治療が必要となることがあります。酸素室での酸素療法や、抗生物質の投与など行われます。
5. 予防方法
日常的なケアや生活習慣の見直しで肺炎を予防することができます。
5-1. 定期的なワクチン接種
ジステンバーウイルスや犬アデノウイルスなど、肺炎を引き起こす可能性のある感染症に対するワクチンを定期的に接種することが重要です。
5-2. 健康診断の実施
定期的に動物病院で健康診断を受けることで、肺炎を早期に発見できる可能性が高まります。また、普段から呼吸や咳の状態に注意を払い、異常を感じたら早めに相談することが大切です。
5-3. 清潔な環境を維持する
犬の生活環境を清潔に保つことも、肺炎の予防に役立ちます。特に湿気が多い場所や、ホコリがたまりやすい環境では、真菌性肺炎のリスクが高まります。
6. 最後に
犬の肺炎は、早期に発見し適切な治療を受けることで、多くの場合回復することができます。飼い主様が日頃から愛犬の様子をよく観察し、普段と違う行動や体調の変化があれば、早めに動物病院に相談することが重要です。いぶきの動物病院では、皆様の大切な家族の健康を守るために全力でサポートさせていただきます。何か気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。