ブログ
犬と猫の尿石症2020/12/06
寒い日が続いていますね。
この時期に多くみられるのが泌尿器系の病気です。
冬場は活動性が低下し、飲水量が減ることが原因と考えられます。
今回は、代表的な泌尿器疾患である「尿石症」についてのお話です。
<尿石症とは?>
尿石症とは、尿の通り道(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石が形成される疾患です。
無症状の子もいますが、血尿や頻尿、痛みを生じるなど、様々な症状を呈します。
また、尿が全く出なくなる尿路閉塞の状態は最も危険であり、
放っておくと命に関わります。
※好発品種
犬:ミニチュアシュナウザー、ヨークシャーテリア、シーズー、キャバリアなど
猫:アメリカンショートヘア、スコティッシュフォールド、ヒマラヤン、シャムなど
<こんな症状があったら要注意!>
日頃からわんちゃん、猫ちゃんの行動をチェックし、
以下のような症状が見られた場合は要注意です。
早めに病院にご相談ください!
・尿が少量しか出ない、または全く出ない
・頻繁にトイレに行く
・トイレ以外のところで排尿する
・赤色や茶色など、普段と異なる色の尿が出る
・尿が濁っている、キラキラしたものが混じっている
・排尿に時間がかかる
・排尿時に鳴くなど、痛そうな様子が見られる
・おなかを触ると嫌がる、または硬いものに触れる
・しきりに陰部を舐める
<尿石の原因>
尿石の種類にかかわらず、
飲水量の不足は尿石形成と強く関連しています。
飲水量の不足は排尿回数の減少を引き起こし、
その結果、濃い尿が長時間体内に留まることになり、
尿石の形成が促進されるのです。
また、わんちゃん・猫ちゃんの尿石症では
ストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石が多くみられますが、
それぞれ尿石形成に関わる因子は異なります。
<診断>
尿検査、レントゲン検査、エコー検査などにより、診断を行います。
尿検査では、尿を顕微鏡で観察し、結晶の有無を確認します。
尿中に結晶が確認された場合、結石ができている可能性が高いですが、
実は結晶が存在する=尿石がある、とは言い切れません!
したがって、尿石の存在を明らかにするには
レントゲン検査やエコー検査といった画像検査が必要です。
<治療>
基本的には食事療法を中心とした内科的治療を行います。
尿石が溶けない場合や、尿路閉塞(=尿石が尿路につまって排尿できない状態)
のように緊急性の高い状態であれば、手術により尿石を摘出する必要があります。
<予防>
尿石症にならないためには、どんなことができるでしょうか?
★日頃からわんちゃん、ねこちゃんの尿の状態をチェックする。
具体的には尿の量、回数、色などです。
異常にすぐに気付けるよう、普段から観察しておきましょう。
特に、「尿が出ていない」のは非常に危険な状態です!
★いつでも清潔な水を飲めるようにする。
水分の摂取量が少ないと、尿量が少なくなり、
尿が濃くなることで尿石が形成されやすくなります。
新鮮なお水を用意し、十分にお水が飲めるようにしましょう。
また、複数の場所にお水を置いたり、
いろんな種類の器(プラスチック製、陶器、大きさの違う器など)を用意するのも、
特に猫ちゃんでは効果的と言われています。
★ドライフードに水をまぜたり、ウェットフードを利用する。
ウェットタイプのごはんは、お食事とともに自然と水分を摂ることができます。
特に、猫ちゃんは元来、飲水よりもごはんから水分をとる動物ですから、
猫ちゃんには特に有効です。
★トイレは清潔に。
トイレが汚れていると、おしっこを我慢してしまうことがあります。
おしっこを我慢することで膀胱内に尿が長時間とどまり、
尿石ができやすくなります。
★適度な運動を心がける。
適度な運動は、飲水を促します!
こまめなお散歩に連れていき、しっかり運動させましょう。
猫ちゃんの場合はキャットタワーを設置したり、
一緒に遊んであげると運動量upにつながります。
尿石症は、日頃から注意すれば予防できる可能性がある病気です!
わんちゃん・猫ちゃんが健康に過ごせるよう、しっかり対策を行いましょう!