皆様、こんにちは。
獣医師の寺山です。
令和4年6月20日をもちまして、いぶきの動物病院を退職することとなりました。
ブログでのご報告になり、申し訳ありません。
私が記事を書くのはこれが最後になるかもしれないので、
獣医師を志したきっかけについて書きたいと思います。
動物と関わる仕事に就くことは小さい頃からの夢でしたが、
中でも獣医師になることを強く意識したきっかけは
飼っていたウサギさんが亡くなったことです。
タロサというミニウサギの子でした。
家に迎える前から体が弱いことはなんとなくわかっていましたが、
とにかく人懐こくてかわいかったのでタロサを選びました。
体が弱そうだという予感は当たっていて、
日を追うごとに後肢の力が入らなくなっていき、1週間ほどで両後肢を全く動かせなくなりました。
それでもケージを開けるといつも前肢だけを使って一生懸命歩き、自分から私の掌に乗ってきました。
当時の私は「病院に連れていくとストレスがかかってかわいそう」と考え、家でお世話をしていました。
毎日スポイトで給餌をしましたが、それだけでよくなるはずはなく
家に迎えて2週間で亡くなりました。
タロサの死は、自分の中に強い罪悪感を生みました。
「かわいそう」という感情に甘えて病院に連れていかなかったことをひどく後悔しました。
“この罪の意識から解放されるには獣医師になって動物を救うしかない"
そう考えるようになり、本気で獣医師を目指す決心がつきました。
獣医師になり、今日に至るまでたくさんの患者さんを診させていただきました。
さて、あのときの罪悪感はどうなったかといいますと…全く薄まることなく心にこびり付いています。
よく考えれば当たり前のことです。
タロサを救うにはタロサを救う以外方法がないからです。
しかし、私は獣医師になったことを後悔していません。
獣医師として動物たちと真剣に向き合った3年間があったからこそ
この罪悪感は消せるものではないということに気づけましたし、一生背負っていく覚悟ができました。
また、飼い主様にとっての特別な存在を助けるお手伝いができたことは私の人生の宝です。
勤務最終日のような語り口になってしまいましたが・・・
6月20日までは引き続き診察をさせていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
最後まで目を通してくださり、ありがとうございました。
寺山