犬に歯石がつきやすい理由と病気・予防ケアを解説2026/08/28

犬に歯石がつきやすい理由と病気・予防ケアを解説
「愛犬の歯の汚れが目立ってきた気がする」
「歯石を放っておくとどんな病気になるの?」
「歯磨きをしてあげたいけれど、何から始めればいいかわからない」
飼い主様はこうした疑問や不安を感じることもあるかもしれません。
実は犬の口腔内はヒトと異なる特徴があり、歯石がつきやすい環境にあります。
放っておくと歯の病気に関わらず全身状態に影響することも少なくありません。
本記事では、犬に歯石がつきやすい理由から日常的なケア方法まで獣医師がわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の歯の健康を守るヒントにしていただければ幸いです。
犬は歯石がつきやすい?その理由を解説
犬はヒトに比べて歯石がたまりやすい動物です。
その背景には、犬の口腔内ならではの仕組みがあります。
歯垢から歯石になる仕組み
歯垢(プラーク)とは、食べかすや口内の細菌が混ざり合って歯の表面に付着したものです。
この歯垢を放置すると、唾液中に含まれるカルシウムやリンと結合して石灰化し、歯石へと変わります。
ヒトの場合、歯垢が歯石になるまで数週間かかるとされていますが、犬の場合は数日という非常に短い期間で歯石化が進むといわれています。
犬の歯石化がはやいのは、唾液がヒトに比べてアルカリ性が強く、石灰化が起こりやすい環境にあるためです。
歯磨きの間隔が空くだけでもすぐに歯石がたまってしまうのは、こうした口腔内の特徴が大きく関係しています。
犬の歯石がつきやすくなる要因
犬の歯石のつきやすさは、生活習慣や体質によっても変わります。
特に影響が大きい要因として、
- ・歯磨きの頻度が少ない
- ・やわらかいフードを主に食べている
- ・唾液の分泌量が少ない
- ・歯が密集しやすい犬種(短頭種や小型犬など)
ということが挙げられます。
フレンチブルドッグやチワワなどの小型犬・短頭種は、歯が密集している分、歯垢が残りやすく歯石がたまりやすい犬種です。

犬の歯石を放置するとどうなる?かかりやすい病気の概要
犬の歯石は見た目の問題だけではありません。
放置することで口腔内に細菌が増殖し、さまざまな病気を引き起こす原因になります。
特に進行しやすいのが歯周病で、全身に影響が及ぶことがあります。
歯周病(歯肉炎・歯周炎)
歯石の表面は凸凹していて、細菌が繁殖しやすい環境です。
増殖した細菌が歯ぐきを刺激し、炎症を引き起こします。
この状態が「歯肉炎」です。
歯肉炎の症状は、
- ・歯ぐきが赤く腫れる
- ・口臭が強くなる
などです。
歯肉炎を放置すると炎症が歯を支える骨(歯槽骨)にまで広がり、「歯周炎」へと進行します。
歯周炎になると
- ・歯がぐらつく
- ・重症の場合は顔(目の下や頬)が腫れる
という症状が見られることがあります。
歯周炎は骨が溶けた状態であるため、歯肉炎とは異なり元の状態には戻りません。
口腔内の問題にとどまらない全身への影響
犬の歯周病が進行すると、歯ぐきの血管から細菌や炎症物質が血流に入り込み、全身に影響を及ぼすことがあります。
特に注意が必要な臓器として、
- ・心臓(細菌性心内膜炎のリスクがある)
- ・腎臓(細菌による慢性的なダメージを受けやすい)
- ・肝臓(血流を介して炎症が波及することがある)
が挙げられます。
飼い主様が、前述したような愛犬の症状に気づいたら、早めに動物病院へ相談しましょう。

犬の歯石ケアは何から始めればいい?
犬の歯に歯石が一度ついてしまうと、自宅でのブラッシングだけでは取り除くことができません。
まずは歯石をためないための日常ケアを習慣にしつつ、すでについている場合は動物病院で対応するのが基本的な流れです。
毎日の歯磨きとデンタルグッズの活用
歯石の予防に最も効果的なのは、毎日の歯磨きです。
歯垢は数日で歯石になるため、歯磨きの頻度が少ないほど歯石がたまりやすくなります。
歯ブラシを嫌がる犬には、最初から無理に口に入れようとせず、まず口周りを触ることに慣らすことから始めるのがおすすめです。
慣れてきたらガーゼや指サックタイプのブラシを使い、少しずつ歯ブラシへ移行していく方法が取り組みやすいでしょう。
歯磨きが難しい場合は、デンタルガムやジェルなどのデンタルグッズを補助的に活用することも選択肢のひとつです。
ただし、これらのみで歯石を完全に防ぐことは難しいため、できる範囲でブラッシングを続けることが大切です。
すでに歯石がついている場合は動物病院へ
すでに歯石がついている場合、自宅でのケアで落とすことはできません。
歯石の除去には、動物病院での「スケーリング(歯石除去)」が必要です。
スケーリングは動物病院にて全身麻酔下で行われることが多く、獣医師が歯の状態をしっかり確認しながら処置します。
「歯が黄色くなってきた」「口臭が気になる」と感じたら、歯石が蓄積しているサインかもしれません。
自己判断で様子を見続けるよりも、早めに動物病院で状態を確認してもらいましょう。

まとめ
「愛犬の歯のケア、ちゃんとできているかな」と飼い主様が不安に感じることもあるかもしれません。
犬はヒトよりも歯石がたまりやすく、放置すると歯周病から全身の病気へとつながるリスクがあります。
日常的な歯磨きやデンタルグッズの活用を続けながら、定期的に口の中の状態を確認する習慣をつけて、愛犬の歯の健康を長く守っていきましょう。
当院は歯科をはじめとした口腔ケア診療に力を入れております。
歯周病のご相談だけでなく、「歯磨きのやり方を教えてほしい」など、些細なことでもお気軽にご相談ください。
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