認知症2020/05/02
○認知症ってどんな病気?
犬猫の認知症とは認知機能不全を指し、加齢に伴って脳の退行変化が原因で起こる進行性の認知機能低下から起こる行動変化を意味します。つまり老化によっていつもと違う行動をしてしまう病気です。
犬猫の認知症は人間同様に一度始まってしまうと治すことができない病気です。
ではどういった行動変化があるのでしょうか?
まず皆さんが最初に気づきやすいのは以下の3点だと思います。
- 昼夜が逆転する。
(昼寝て、夜寝ない。)
- 場所がわからない。
(部屋の入り口を間違える。トイレの場所がわからなくなる。)
- 徘徊する。
(同じ所をグルグル回り続ける。)
その他にもたくさんの症状が見られることがあります。
下のチェック表であてはまる症状がないかチェックしてみましょう。
《セルフチェック》
□怖がりになった
□よく吠えるようになった
□攻撃的になった
□おもちゃへ興味がなくなった
□昼間寝ていることが多い
□夜起きている時間が長い
□トイレを失敗するようになった
□日中ぼーっとしている時間が多くなった
□睡眠リズムが変わった
□部屋の隅で動けなくなっていることがある
これらの症状は犬種や性差に関係なく、犬の場合14歳以上で約40%が発症すると言われています。
しかし、上記の症状が出るからといって必ずしも認知症だとは限りません。脳腫瘍などの病気にも同じような症状が見られることがあるので、血液検査やレントゲン検査、超音波検査などを必要に応じてすることが大切です。
また認知症は進行度にもよりますが脳が萎縮して小さくなります。脳の萎縮を確認するにはMRI検査が必要ですが、MRI検査をするには全身麻酔をする必要と実施できる施設が限られているので、ご希望の際は担当獣医師とよくご相談ください。
○治療法・対処法
認知症は発症してしまうと進行していきます。なので治療やご家族の協力が必要になります。
以下のような対処法があります。
- 生活環境を整える。
高齢になると目が見えにくくなったり、耳が遠くなったり、筋肉量が落ち活動量が減ります。
・模様替えをしない。
・お皿の置く位置を高くして食べやすくする。
・滑らないようにカーペットを敷く
・ベットなどの段差をなくす。(スロープをつける)
- 生活リズムを整える。
・規則正しい生活をおくる。
- 刺激を与える。
・散歩コースを少し変えてみる。
・飼い主から声をかける。
・知育系のおもちゃを与える。
- 身体のお手入れをする。
認知症になるとトイレの失敗などで顔や身体が汚れてしまうので、身体に触れられることに慣らしておく。
- サプリメント
サプリメントを使うことによって、ストレスを抑えられたり、病気の進行を防ぐ効果が期待できます。
当院でもアクティベートという商品を取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。
- 薬物療法
認知症の進行を抑えたり、ご家族の負担を少なくすることを目的でお薬を処方することもあります。お薬の処方には診察・検査が必要となってくるので担当獣医師にご相談ください。
認知症は早期発見・早期治療が重要です。そのためにも日々のワンちゃん・ネコちゃんの観察や動物病院での定期的な診察を受けましょう。