犬の嘔吐の原因や症状、診断や治療法|獣医師が徹底解説!|大阪府和泉市のいぶきの動物病院2024/10/12

和泉市、堺市、岸和田市の皆さん、こんにちは!
大阪府和泉市のいぶきの動物病院の院長の島田です。今回は、愛犬の嘔吐について心配されている飼い主様のために、嘔吐の原因や症状、診断の流れ、そして一般的な治療法について詳しく解説していきます。嘔吐は犬が頻繁に見せる症状の一つで、さまざまな原因が考えられます。大切な愛犬の健康管理のため、ぜひ最後までご覧ください。
1.原因
犬の嘔吐の原因はさまざまです。ここでは主な原因についてご紹介します。
1. 食餌に関連する原因
• 急激な食餌の変更:食事内容が急に変わると、犬の消化器系が対応できずに嘔吐を引き起こすことがあります。体質や犬種に合わない食餌も要注意です。
• 誤飲・異物摂取:ゴミやおもちゃ、植物などを誤って飲み込むと、嘔吐や消化不良を引き起こす可能性があります。大変危険です。
• 食べ過ぎや早食い:犬が一度に大量の食事を摂取したり、早食いをすると消化不良を起こし、嘔吐に繋がることがあります。
2. 感染症
•細菌感染症:汚染された食餌などから各種細菌の感染症を起こすことがあります。
• ウイルス感染症:犬パルボウイルスや犬コロナウイルスなど、感染症が原因で嘔吐を引き起こすことがあります。
• 寄生虫:回虫や鉤虫などの寄生虫が体内にいる場合、嘔吐を引き起こすことがあります。
3. 消化器系の疾患
• 胃炎や腸炎:胃や腸が炎症を起こすことで嘔吐が生じることがあります。
• 胃拡張・捻転症候群:大型犬に多く見られる疾患で、胃が膨らみ捻じれることで嘔吐や激しい腹痛を引き起こします。
•炎症性腸疾患、腫瘍:繰り返される嘔吐や下痢は、特殊な腸炎や腫瘍の場言い合があります。
詳しくは、『消化器外来』もご参照ください。
消化器外来 – いぶきの動物病院|和泉市 岸和田市 堺市|うさぎ ハムスター 鳥も診療 (ibukino-ah.com)
4. 中毒
• 毒物摂取:チョコレート、玉ねぎ、ぶどう、アルコールなど、犬に有害な物質を摂取した場合、中毒症状として嘔吐が現れることがあります。
5. その他の原因
• ストレスや不安:環境の変化や家族の不在などが犬にストレスを与え、嘔吐の原因となることもあります。
• 内分泌疾患:甲状腺機能低下症や糖尿病などの内分泌疾患も嘔吐の原因になる場合があります。
•内臓疾患:腎疾患、肝疾患、免疫介在性疾患も程度により、気持ちが悪くなり、嘔吐することがあります。
2.症状
犬の嘔吐には、その他の症状が伴うことがあります。飼い主としては、嘔吐の回数や内容物、併発している他の症状に注目することが重要です。
• 頻繁な嘔吐:一日に何度も吐くようであれば、早急な対処が必要です。
• 血が混じっている:吐しゃ物に血が混じっている場合、消化管内での出血の可能性があります。
• 食欲不振:嘔吐に伴って食欲が低下している場合、消化器系の問題や内臓疾患が疑われます。
• 元気がない:普段と比べて元気がない、遊びたがらない場合は体調不良が原因かもしれません。
• 下痢や発熱:嘔吐に加えて下痢や発熱が見られる場合、感染症や消化器の疾患の可能性が考えられます。
3.診断の流れ
嘔吐の原因を特定するためには、以下のような診断が行われることが一般的です。
1. 問診
• 飼い主から嘔吐の頻度や内容物、他の症状について詳しく聞き取りを行います。飲み込んだ可能性のある物や、食事の変更などについても確認します。最も大切な情報です。是非詳しく教えてください。
2. 身体検査
• 腹部の触診聴診を行い、腫瘤の有無、消化管の蠕動音の評価や痛みの有無を確認します。また、体温や脱水症状の有無もチェックします。
3. 血液検査
• 感染症や内分泌疾患、中毒の可能性を調べるために血液検査を実施します。特に白血球数や炎症マーカー、膵臓、肝臓、腎臓の機能を確認することで原因を特定しやすくなります。
4. 画像検査(X線や超音波)
• 異物の有無や内臓の状態を確認するために、X線や超音波検査を行います。特に誤飲や腫瘍などが疑われる場合に有効です。必要に応じて造影剤による造影検査も行います。
5. 糞便検査
• 消化の状態の評価や、寄生虫感染を疑う場合には、糞便検査を行い、寄生虫の有無を確認します。
6. 内視鏡検査
•食道や胃内の異物の摘出やポリープの切除、消化管の内部の観察や、評価、必要に応じてバイオプシーを行います。炎症性腸疾患や腫瘍の診断に有効です。※『消化器外来』もご参照ください。
4.治療の流れ
診断結果に基づいて、原因や症状に応じた治療を行います。
1. 食餌の管理
• 軽い症状であれば、一時的な絶食や適切な療法食などを与えて消化器を休ませることが有効です。
2. 薬物療法
• 制吐薬:嘔吐を抑えるための薬を使用します。(原因によります。)
• 抗生物質:感染症が原因の場合には、抗生物質を投与します。
• 駆虫薬:寄生虫が原因の場合、駆虫薬で治療を行います。
• 胃薬:胃の炎症や胃酸過多が原因の場合には、胃薬を使用することがあります。
3. 補液(点滴)療法
• 脱水症状や体液バランスの異常がある場合には、点滴などで補液を行います。特に嘔吐が続く場合には必要です。
4. 手術
• 異物が取り除けない場合(腸閉塞など)や腫瘍、胃捻転などが疑われる場合には、手術が必要となることもあります。
5.予防方法
犬の嘔吐を防ぐためには、いくつかの対策が効果的です。
• 食餌管理:急激な食餌変更は避け、適切な量を与えましょう。犬種や体質に合った適切な食餌を与えましょう。また、早食いを防ぐために、早食い防止用の食器を使うこともおすすめです。
• 定期的な検診:特に寄生虫予防のために、定期的な検便や予防薬の投与を行いましょう。血液検査や画像検査もおすすめです。各種健康診断を実施しています!
• 誤飲防止:誤飲しやすい物や毒性のある食べ物を犬の届かない場所に保管し、室内や庭の安全管理を徹底しましょう。
6.最後に
犬の嘔吐は、様々な原因で発生する症状であり、早期の発見と対処が重要です。軽度のものであれば自然に治まる場合もありますが、嘔吐が頻繁に続く場合は病院での診察が必要です。
いぶきの動物病院では、愛犬の健康を守るために嘔吐など消化器疾患に対して専門的なサポートを提供しています。気になる症状がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください!