犬の丸い脱毛の原因とは?|考えられる病気・動物病院へ行く目安を獣医師が解説2026/07/21

犬の丸い脱毛の原因とは?|考えられる病気・動物病院へ行く目安を獣医師が解説
愛犬の体を撫でているときに、
「円形に毛が薄くなっている」
「毛が抜けたところが赤くなっていて痒そう」
「愛犬が身体を舐めていて丸く毛が抜けている」
といった様子があったら心配な気持ちになりますよね。
犬の丸い脱毛は、一時的なものから治療が必要な病気まで原因はさまざまです。
痒みがないからといって安心できるわけではなく、放置すると脱毛範囲が広がったり、他の犬や人へ感染したりする病気もあります。
この記事では、犬の丸い脱毛の原因、考えられる病気、家庭での対処法、受診のタイミングについて詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の丸い脱毛を見つけた際にお役立てください。
犬の丸い脱毛で考えられる主な原因
丸い脱毛というと人では自己免疫疾患のひとつである「円形脱毛症」がよく知られています。
一方、犬では人のような自己免疫性の円形脱毛症は比較的まれです。
犬に丸い脱毛が見られる場合は軽い擦れなどの外傷による一時的なもののこともあります。
しかしなかなか治らなかったり、赤みや痒みを伴う場合には以下のような病気やトラブルが考えられます。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
真菌(皮膚糸状菌)感染
皮膚糸状菌症はカビの一種による感染症です。
円形に脱毛するのが特徴で、フケが増えたり赤みが出ることもあります
主に皮膚が柔らかい以下のような場所に丸い脱毛が見られます。
- 眼の周り
- 口の周り
- 耳周り
- 足先
犬の皮膚糸状菌と他の皮膚病との大きな違いは痒みを伴わないことです。
犬が痒がっていないからと放置してしまうと、症状が悪化する可能性があります。
皮膚糸状菌症は若齢犬や免疫力が低下する基礎疾患をもつ犬が発症しやすいです。
また人にも感染する可能性があるため、愛犬が皮膚糸状菌に罹患した場合には注意が必要です。
毛包虫症(ニキビダニ)
毛包虫症はニキビダニが毛穴(毛包)の中に寄生して起こる皮膚炎です。
ニキビダニによる皮膚炎は、円形脱毛のように局所性に出る場合と、全身性に出る場合があります。
局所性に出る場合は、
- 目の周り
- 口の周り
- 四肢
に丸い脱毛が起こることがあり、フケや皮膚の赤みがでることもあります。
局所性の場合は痒みは少ないケースが多いです。
しかし全身性のものでは痒みが強く二次的に細菌感染を起こし、膿皮症のような状態になる場合もあります。
毛包虫症は免疫力が低い若齢犬や、免疫が低下する基礎疾患をもつ中・高齢犬に起こりやすいため注意が必要です。
急性湿疹
犬の急性湿疹とは短時間で急激に悪化する皮膚炎で、別名「ホットスポット」と呼ばれます。
丸い脱毛が特徴的で他にも、
- 突然皮膚が赤くなる
- ジュクジュクと湿った皮膚になる
- 皮膚の痒みや痛みがでる
といった症状がでます。
急性湿疹は高温多湿な時期に発生しやすく、短時間で急に発症することが特徴です。
朝までは何もなかったのに、散歩後やシャンプー後などに突然皮膚が皮膚がじゅくじゅくして痒がり始めたというような状況も多く見られます。
急性湿疹は被毛が密な犬種で発症しやすいため、ゴールデンレトリバーや柴犬などに多く見られます。
膿皮症
膿皮症は、犬の皮膚に常在しているブドウ球菌などの細菌の異常増殖によって起こる疾患です。
皮膚の赤みや丘疹と呼ばれる皮膚の湿疹が特徴です。膿皮症が進行すると膿疱(のうほう)というニキビのようなものが皮膚の表面にできます。
この膿疱が破れて辺縁のみが残ったのが、表皮小環(ひょうひしょうかん)と呼ばれる状態です。
この表皮小環が円形脱毛のように見える場合もあります。
このような症状は、
- 腹部
- 背中
- 内股
- 脇の下
- 耳の付け根
といった場所に起こりやすいです。
また、膿皮症にともなう強い痒みが起きると犬は皮膚をひっかいたり舐めてしまい、かさぶたができたりすることにより脱毛を起こすことがあります。
アレルギー性皮膚炎
犬の皮膚病の原因で多く見られるもののひとつがアレルギー性皮膚炎です。
アレルギー性皮膚炎による痒みによって犬が皮膚を引っ掻いたり舐めたりしてしまうと、丸く毛が抜けてしまう場合があります。
犬の場合は以下のようなアレルギーが代表的です。
- 食物アレルギー(特定のタンパク源など)
- 環境アレルギー(ハウスダスト、花粉、カビ、ダニなど)
アレルギー性皮膚炎は慢性的に痒みと湿疹を繰り返します。
そのため診断や治療が遅れると、皮膚の脱毛も悪化し治るまでに長期間要する場合もあるため注意が必要です。
内分泌疾患
犬の内分泌疾患でも丸い脱毛が見られる場合があります。
以下のような病気が代表的です。
- 甲状腺機能低下症
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
このような内分泌疾患では左右対称の脱毛が見られるのが特徴で、原因の疾患を治療しないと毛が生えてきません。
また脱毛以外にも、元気がなくなったり多飲多尿といった全身症状が出てくる場合もあります。

動物病院を受診すべき症状
丸い脱毛の原因が軽い擦れなど一時的なものであれば自然に毛が生えることもあります。
しかし次のような症状がある場合には早めに受診してください。
- 脱毛が広がる
- 赤くなっている
- 出血している
- 強く痒がる
- フケが大量にある
- 元気や食欲がない
- 子犬・高齢犬である
皮膚病は見た目だけでは診断できないことが多く、動物病院での適切な検査や診断が必要です。
原因疾患がある場合には脱毛は自然治癒が期待できないことが多く、放置すると悪化する可能性があります。
原因を適切に治療できれば、多くのケースで毛は再び生えてきます。
ただし、慢性的な炎症や傷跡が残ると毛が生えにくくなる場合もあるので注意が必要です。
早期に治療を開始するほど治りも早くなるため、気になる脱毛を見つけたら早めに診察を受けましょう。

まとめ
犬の丸い脱毛は感染やアレルギー、ホルモン異常などさまざまな原因で起こります。
見た目だけでは原因を判断することは難しく、放置すると悪化する病気も少なくありません。
- 脱毛が広がる
- 赤みや痒みがある
- フケやにおいが気になる
といった場合は、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
早期に原因を特定し、適切な治療を受けることが愛犬の皮膚と被毛の健康を守る近道です。
当院は皮膚科診療に力を入れています。
愛犬の丸い脱毛に気がついた場合には早めに当院にご相談ください。
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