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フェレットの病気

イタチ科の肉食動物であるフェレットは、狩猟目的で家畜化されたといわれています。小型で、鳴いたり吠えたりせず、何よりその人懐っこい性格から、今では、大人気のエキゾチックアニマルです。成長期は好奇心ゆえの異物摂取、シニア期の腫瘍疾患などに注意が必要です。ご家族のインフルエンザがフェレットに感染することもあります。

フィラリア症

蚊に刺されて感染します。フェレットは小さいため重篤になりやすく、予防が大切です。

蚊に刺されて、犬糸状虫(フィラリア)が感染し、心臓に寄生することが原因で起こる疾患です。
感染すると、元気食欲がなくなり、発咳、呼吸困難症状、血尿、胸腹水貯留が認められます。フェレットは犬に比べ体格や心臓も小柄であるため、少数寄生でも重篤な状態に陥りやすく、治療も困難であるため、予防が重要です。

ジステンパー

予防にはご相談の上で犬用のワクチンの接種を行っています。

イヌジステンパーウイルスの感染による病気です。
ウイルスは空気感染を起こし、感染すると、皮膚症状にはじまり、次第に高熱を生じます。そして、消化器症状、呼吸器症状、あるいは中枢神経症状にまで発展します。一度感染すると致死率は100%であるため、ワクチン接種による予防が重要です。残念ながら、日本国内ではフェレット用に認可されたジステンパーワクチンがないため、御相談の上で有効性が確認されている犬用ワクチンの接種を行っています。

副腎疾患

人との生活により日照時間が長い事が原因とも言われています。早期発見・治療が大切です。

ペットとしてのフェレットは、若齢で性腺摘出されていることが多く、そのため、性腺刺激ホルモンが出続けてしまい、副腎細胞が常に刺激されることにより副腎疾患に陥りやすいといわれています。また、人との生活の中で、日照時間が長いことが原因とも言われています。それらの原因がきっかけとなり、副腎からホルモンが過剰に分泌され、左右対称性の脱毛が起こります。メスでは外陰部の腫脹、オスでは前立腺肥大による排尿困難症状が引き起こされることも多いです。最終的には不可逆的な貧血におちいることがあり、早期の発見、治療が大切です。身体検査、血液検査、超音波検査にて診断し、内服や注射による内科療法や、副腎を切除する外科的治療を行っています。

インスリノーマ

3〜4歳以降のフェレットに多発し、嗜眠傾向が見られます。

膵臓のインスリン産生細胞の過形成や腫瘍化により起こります。3、4歳以降のフェレットに多発しますが、初期は、嗜眠傾向がみられる以外の特徴的な臨床症状が見られないこともあり、元来、一日の大半を寝て過ごすフェレットでは、発見が遅れることが多いです。重症例では、低血糖性の発作が見られます。中年齢以降のフェレットでは、早期発見のための血液検査をおすすめしています。治療は、血糖上昇効果が期待できる薬の内服や腫瘍化(過形成)した膵臓の外科切除を行います。

泌尿器疾患(尿結石)

予防には新鮮なお水と、良質なフードが大切です。定期的尿検査もおすすめです。

不適切な食餌、尿路の感染などにより生じます。
多くは、リン酸アンモニウムマグネシウムあるいはシュウ酸カルシウムで、排尿時の疼痛や血尿など膀胱炎、排尿障害症状を起こします。特にオスは、尿道が細くて長いので、尿路閉塞を起こし致死的なものになりやすい傾向があります。閉塞時は緊急での処置が必要です。予防には、新鮮なお水は十分にとり、良質なフードを与えることが大切です。また、早期発見のための定期的尿検査もおすすめです。

アリューシャン病

多頭飼育の場合、同居のフェレットに感染することがあります。

元来ミンクに発生していた、ウイルス性の伝染病で、パルボウイルスに感染することで起こります。
感染するとウイルスにより体内で免疫系が刺激され、過剰に抗体が産生されます。その抗体が、免疫複合体を形成し、様々な有害反応を引き起こす疾患です。その症状は、有害反応が生じた臓器組織に応じてさまざまで、体重減少、衰弱、貧血、咳、下痢、嘔吐などの症状が見られます。特定のファームのフェレットに発生率が高いように思われます。臨床症状や、血液検査所見、血液中の抗体価の測定、血液、糞便のウイルス遺伝子の検出、罹患臓器の生検所見などをもとに診断を行います。根本的治療は困難ですが、支持的治療に加え、ステロイド剤の投与やインターフェロンの投与による緩和的治療を行います。多頭飼育の場合、同居フェレットに感染する恐れがあるため、早期診断が重要です。

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