犬のエナメル質形成不全とは|犬の歯が欠けてしまう病気について解説2026/09/14

犬のエナメル質形成不全とは|犬の歯が欠けてしまう病気について解説
犬の歯の病気であるエナメル質形成不全という病気について知っていますか?
「愛犬の歯の一部が茶色く変色している」「歯の表面が削れたようにボロボロになっている」などの変化がある場合は、この病気が原因かもしれません。
虫歯や歯石と間違えられることもよくあるエナメル質形成不全ですが、放置しているとひどい痛みを生じたり、抜歯が必要になることもある病気です。
今回はそんな犬のエナメル質形成不全について詳しく解説します。
愛犬の歯の状態にご不安のある飼い主様はぜひ最後まで読んでいただき、犬のエナメル質形成不全という病気について詳しく知っておきましょう。
エナメル質形成不全とは
エナメル質形成不全とは、歯の最も外側を覆うエナメル質という部分が十分に作られない病気です。
エナメル質は、体の中でもかなり硬い組織です。
エナメル質の存在により歯の内部の繊細な象牙質やさらにその内部にある歯の神経である歯髄を守ることができます。
このエナメル質は通常、歯が作られる成長期に形成されます。
この時期に何らかのトラブルが発生するとエナメル質が十分に形成されない状態で歯が生えてきてしまうことがあり、これがエナメル質形成不全です。
エナメル質が十分に形成されない状態で生えてきた歯は、
- ・表面に凹凸がありザラザラしてる
- ・一部が欠けたように見える
- ・茶色や黒に変色している
などの見た目に異常が出ることが多いです。
エナメル質形成不全は1本の歯だけに異常が現れることもあれば、口腔内全体の歯で見られることもあります。

エナメル質形成不全の原因は
エナメル質形成不全を発症する原因には、大きく分けて発育期の異常と遺伝的要因があると考えられてす。
発育期の異常としては、
- ・ジステンパーウイルスなどの感染症
- ・消化器疾患などによる栄養失調
- ・口元を強く打つなどの外傷
が代表的な要因です。
これらの異常が歯を形成する時期に起こることで、エナメル質が正常に発生しない原因になります。
遺伝的要因としては、エナメル質形成不全を起こしやすい犬種がわかっているわけではありません。
しかし、
- ・明らかな原因はなく全ての歯がエナメル質形成不全である場合
- ・親犬や血縁の犬でもエナメル質形成不全が見られる場合
などでは遺伝が関与している可能性もあると考えられています。
エナメル質形成不全を放置するとどうなる?
愛犬の歯の変色に気がついても「変色しているだけならまあいいか」と放置される飼い主様は少なくありません。
しかしエナメル質形成不全の歯は、歯を守る硬い盾の役割を果たす部分を欠いた非常に無防備な状態です。
そのためエナメル質形成不全の歯は、強度を失い少しの衝撃で折れてしまうリスクがあります。
また象牙質や歯髄がむき出しになることで、冷たい水や物理的な刺激がダイレクトに象牙質や歯髄に伝わり、知覚過敏の強い痛みを生じます。
犬は歯に痛みを感じると、
- ・食べ物をボロボロ落とす
- ・よだれの量が増える
- ・硬い食事を嫌がる
- ・口を触られることを嫌がる
などの症状が出ることが多いです。
このような症状に気がつかずエナメル質形成不全を放置してしまうと、歯周病や歯髄炎などの細菌感染を起こす原因になります。
エナメル質が欠けた歯は表面に凹凸ができ、ざらざらしているため、食べかすが歯の表面に残留しやすいです。
食べかすが凹凸の隙間に長期間付着すると、歯の周りで細菌が増殖し炎症を起こします。
歯周病や歯髄炎になると歯を残すことができなくなるケースも多いため、早急に治療を受ける必要があります。
エナメル質形成不全の治療
残念ながら、エナメル質形成不全には根本的な治療法がありません。
エナメル質形成不全の治療目的は主に「痛みを和らげること」と「歯の寿命を伸ばすこと」です。
エナメル質を欠いた歯のためにできることは何があるのでしょうか?
エナメル質形成不全の治療法は歯の状態によって異なるため、軽症の場合と重症の場合に分けて解説します。
軽症の場合
エナメル質形成不全の軽度の状態では、エナメル質が存在する部分と存在しない部分があり、凹凸ができていたり表面がざらざらしています。
この状態にはエナメル質が欠けて凹んでいる部分をレジンなどのコーティング剤で埋めることで、表面をツルツルに仕上げる治療法があります。
この方法は、人間の初期の虫歯の時に悪い部分を除去した後に行う処置と同じ方法です。
表面をコーティングすることで象牙質や歯髄が守られ強度が増すだけでなく、知覚過敏のような症状も改善させることができます。
またコーティングにより表面が滑らかになると、歯周病や歯髄炎を発症しやすいというリスクも軽減することができます。
この処置を行う際は表面を磨いたり削ったりする必要がありますが、それにより強い痛みを生じることは少ないです。
侵襲性の高い処置ではないので、術後すぐにいつものペットフードを食べることができます。
重症の場合
エナメル質の形成がほとんどされていない場合や、それにより歯髄炎や破折が起こっているなど重症と判断される場合には、根管治療や抜歯手術が必要になるケースもあります。
根管治療とは「感染を起こした歯髄を除去して消毒しセメントなどにより埋める」という処置です。
歯髄炎は進行すると、細菌が歯髄を食い尽くし歯髄は壊死してしまいます。
残念ながら壊死してしまった神経を元に戻すことはできません。
そのため、神経ごと細菌を除去し、綺麗に消毒することで悪い部分のみを除去し歯自体を残すことが可能です。
神経を抜いた歯は元の状態より脆くなってしまうので、薬やセメントを詰めて治療終了です。
歯髄炎や歯周病が、歯の根元や周囲の骨にも進行している場合には抜歯手術を避けられないケースもあります。
根管治療や抜歯手術の術後は、しばらく痛みを生じていることが多いので、柔らかい食事を与えるなどの配慮が必要です。

まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は犬のエナメル質形成不全という病気について解説しました。
エナメル質形成不全という病気について聞いたことがないという飼い主様は多いですが、どんな犬でも発症する可能性がある病気です。
エナメル質形成不全は一見すると「ただの歯の着色かな」と見過されがちですが、早期に適切な歯科治療を行うことにより歯を残すことができる可能性があります。
当院では、犬の歯科疾患について専門的な知識と高い技術を持つ獣医師がエナメル質形成不全の治療に当たります。
高い技術力の求められる犬の歯科疾患についてお悩みのある飼い主様は、ぜひ当院までご相談ください。
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