繰り返す犬の湿疹|原因や治療法を獣医師が詳しく解説2026/05/07

繰り返す犬の湿疹|原因や治療法を獣医師が詳しく解説
「お腹に赤いポツポツができている」
「治療したら治るけど何度も湿疹ができる」
「湿疹が痒そうで可哀想」
このように、愛犬の繰り返す湿疹に悩んだ経験はありませんか?
犬の湿疹が「何度も繰り返す」場合、単なる一時的な皮膚トラブルではなく、体質や慢性的な疾患が関係していることが多く、しっかり原因を見極めることが重要です。
この記事では、犬の湿疹が再発する理由、主な原因や対策まで詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、繰り返す犬の湿疹でお悩みの方はお役立てください。
なぜ湿疹が繰り返されるのか
湿疹とは、皮膚に炎症が起き皮膚のぶつぶつや赤みなどがでている状態です。
健康な犬の皮膚はバリア機能が保たれているため、通常は細菌やアレルゲンが入りにくい状態です。
何かしらの原因でバリア機能が低下すると細菌などが侵入しやすくなったり、外部からの刺激に敏感になったりします。
犬が湿疹を繰り返す状態とは、症状がなかなか治らないだけでなく、治療によって一時的に症状が落ち着いても、薬を減らしたり中止したりすると再発する状態をいいます。
湿疹が再発する背景には、「原因が解決されていない」ことや「湿疹が起きやすい体質がある」ことが大きく関係しています。
また湿疹の原因はひとつだけではなく、さまざまな原因が組み合わさって発症します。
原因の特定のしにくさも繰り返す湿疹の大きな要因です。
犬の湿疹ができる主な疾患
湿疹が繰り返される原因にはさまざまなものがあります。
主な疾患をそれぞれ詳しく解説します。
アレルギー性皮膚炎
犬の皮膚病で最も多い原因のひとつがアレルギーです。
以下のようなアレルギーがあります。
- ・食物アレルギー(特定のタンパク源など)
- ・環境アレルギー(ハウスダスト、花粉、カビ、ダニなど)
環境アレルギー(アトピー性皮膚炎)はハウスダストや花粉などの環境アレルゲンに過剰な免疫反応を起こしたり、皮膚バリアの機能が低下することによって、引き起こされる疾患です。
アトピー性皮膚炎は慢性的に痒みと湿疹を繰り返す代表的な原因です。
食物アレルギーは特定の食材(牛肉、鶏肉、小麦など)に反応して皮膚症状が出ます。
季節に関係なく症状が続くのが特徴です。
また下痢や排便回数の増加などといった消化器症状を伴う場合もあります。
また、食物アレルギーと環境アレルギー(アトピー性皮膚炎)は併発していることも多く、治療が難しくなる場合も多いです。
アレルギーは完治が難しい病気です。
症状をコントロールするのが目的のため、対策をやめると再発するため注意しましょう。
膿皮症
膿皮症は、犬の皮膚に常在しているブドウ球菌などの細菌の異常増殖によって起こる疾患です。
湿疹以外にも皮膚の赤みや膿疱などを引き起こします。
また、膿皮症の根本の原因としてアレルギーがある場合があります。
アレルギー体質が背景にある場合は、薬で一時的に菌が減ってもアレルギーが治っていなければ菌の増殖が改善されません。
根本の原因であるアレルギー体質や生活環境が変わらないと再発することがあるため注意が必要です。
マラセチア皮膚炎
犬のマラセチア性皮膚炎は、皮膚の常在するマラセチア(酵母様真菌)が異常に増殖することで起こります。
湿疹以外にも皮膚のベタつきや独特のにおいが特徴です。
特に症状が出やすいのは、脇や内股や指の間といった蒸れやすい場所です。
暖かくなって湿気が強くなる時期に悪化しやすくなります。
寄生虫感染
外部寄生虫や常在微生物の感染による皮膚炎も、犬が湿疹を繰り返す原因となります。
代表的なものは以下になります。
- ・ノミ
- ・疥癬
- ・毛包虫(ニキビダニ)
特にノミアレルギー性皮膚炎は強い痒みと湿疹が伴います。
駆除が不十分だったり、治療が不十分だと再発するため注意が必要です。
ストレス・生活環境
湿度・汚れなどの環境要因も犬の湿疹の悪化・再発の原因になります。
またストレス行動の一環として、犬が身体を舐める行動をする場合があります。
これは舐性皮膚炎(しせいひふえん)という状態で、舐める行動が改善しない限り湿疹を繰り返すため、注意が必要です。
基礎疾患の影響
犬が湿疹を繰り返す場合には、根本の原因に全身性の疾患があることがあります。
以下の病気があると湿疹が治りにくく、再発を繰り返す原因となります。
- ・甲状腺機能低下症
- ・クッシング症候群
- ・糖尿病
- ・免疫系の異常
この場合、皮膚の湿疹だけ治療しても改善しません。
原因となる疾患を特定することと、それに対して適正な治療をすることが重要です。

適切な診断・治療が重要
犬が湿疹を繰り返す場合には、問診の際に獣医師に状況を詳しく伝えることが重要です。
- ・今までの経過
- ・症状が出ている身体の場所
- ・食事内容
- ・予防歴
- ・体調の変化の有無
上記の問診を踏まえて、動物病院では皮膚検査やアレルギー検査、また必要に応じて血液検査や画像検査といった全身状態の確認が行われます。
犬の湿疹は複数の原因が重なっていることもあるため、さまざまな検査を組み合わせて実施されるという点が重要です。
犬の湿疹は原因に応じて下記のような治療を組み合わせて行われます。
- ・抗生物質(細菌感染)
- ・抗真菌薬(マラセチア)
- ・ステロイドや免疫抑制薬
- ・外用療法(薬用シャンプー・保湿剤)
- ・食事療法
犬の湿疹は継続的な治療と管理が重要です。
症状が改善しても症状の再発を予防するため治療薬を継続する場合もあります。
自己判断で治療を中断せず、獣医師の指示に従って、投薬を継続していきましょう。
皮膚の湿疹の再発を防ぐための対策
繰り返す湿疹を防ぐには、皮膚疾患の適切な診断な治療に加えて、皮膚を健康な状態に保つことが重要です。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
皮膚バリアの維持
皮膚バリアの維持には、定期的な保湿と適切なシャンプーが重要です。
特に、シャンプー後は皮膚が乾燥しやすくなりますので保湿剤をしっかりつけてあげましょう。
皮膚の乾燥は皮膚バリア機能の低下に繋がります。
特にアレルギーやアトピー体質の犬の肌は乾燥傾向にあります。
乾燥する冬の時期だけでなく、日常的に保湿を継続していきましょう。
環境管理
犬が湿疹を起こさないようにするには、環境改善も重要です。
以下のような対策を実施することが有効でしょう。
- ・寝床や毛布をこまめに洗濯
- ・空気清浄機の使用
- ・部屋の掃除・換気
- ・ノミ・ダニ予防を継続
環境中のアレルゲンを完全に排除するのは難しいです。
こまめにシャンプーをしたり、散歩後にタオルで身体や足を拭き取ることでなるべく皮膚の表面からアレルゲンを取り除いてあげるようにしましょう。
食事の見直し
栄養バランスのとれた食事は犬の皮膚の健康には必須です。
犬の皮膚のバリア機能維持のためには、良質なタンパク質オメガ脂肪酸や亜鉛、ビタミンAなどがおすすめです。
サプリメントなどで補充するのもおすすめです。
食物アレルギーの疑いがあれば、フードの変更が行われます。

まとめ
犬の湿疹が繰り返される場合、その裏にはアレルギーや感染症などの慢性的な原因が隠れていることが多いです。
対症療法だけでなく、原因を特定し、長期的に管理することが改善への近道です。
早めに適切な診断と治療を受けることで、愛犬の痒みやストレスを大きく減らすことができます。
当院は皮膚科診療に力を入れています。
繰り返される湿疹に悩んでいる場合や皮膚のケアの方法のご相談までいつでもご来院ください。
大阪府和泉市の動物病院
いぶきの動物病院





















